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【抄訳】医療施設における環境感染対策:CDCおよびHICPACのガイドライン

4月15日

2008年1月24日

 その後の考え方も環境の消毒が重要とされ、病院環境表面の清掃・消毒(吉田製薬)発刊される。

更新:2005年6月14日

お知らせ

 キューラメディクス社がサラヤ社(満田先生監訳)制作の本ガイドラインの日本語・英語版を公開しています(PDF、3MB以上で重いです)

本文

吉田順一(ICD=感染管理医)

Junichi Yoshida, MD, MS, FACS

 注:斜字体の文献・図表等の番号は原典1)と一致します。ただし慣例に従い、ラテン語の属種名も斜字体とします。この抄訳についてはCDCから許可を得ました。

 

●はじめに

 2003年末に完成された、米国の疾病管理予防センター(CDC)および病院感染対策施行勧告委員会(HICPAC)による医療施設における環境感染対策のためのガイドライン(以下、G2003)1)を抄訳します。2003年6月にPart IIの部分が先行して発刊され、和訳がウエブ公開2)されています。

 国内法と照合するため、表1で対比します。

●G2003の2部構成

 CDCによる手洗いと病院環境制御の指針(81年・85年)と院内肺炎予防の指針(97年)等が更新され、米国麻酔学会(ASA)はこれらを基礎として感染対策指針を作成しており、和訳もウエブ公開3)されています。

 Part Iは背景情報としての文献考察、Part IIは勧告文書であり、エビデンスの程度も記載されている。ここではFigure、TableおよびBox(総括)を中心に抄訳します。

●危機管理

 G2003の疾患はアウトブレイクが生じると危機管理が必要になります。

 一方、勧告では学際的な感染管理チームが説かれ、国内のICTに相当すると思われ、総括を表2(Box 1に示します。

=====Part I=====

●背景情報のはじめに

 病原体が宿主に門戸から侵入し、感染症が成立する要素を表3(Box 3に示します。

 空気感染対策として空気感染隔離(AII)の定義は、飛沫核(直径<5 μm)で感染する患者を隔離することをいい、12 ACH(毎時換気回数)を超える換気が必要とされ、陰圧とされます。他方、予防的環境(PE)の定義は、廊下に対して陽圧の病室をいい、12 ACHを超える換気で血液幹細胞移植患者を収容できます。

●空気に関する背景情報

 飛沫(直径>5 μm)による感染は半径1mに生じえます。疾患としては、インフルエンザ、アデノウイルス症、ライノウイルス症およびRSウイルス症があります。

 AIIで述べた飛沫核により感染する病原体は、結核菌、帯状疱疹ウイルス(VZV)および天然痘(痘瘡)ウイルスです。

 なおAspergillus fumigatus の芽胞は直径2-3.5 μmにて飛沫核と同様で、病院の改築時には問題となりやすいです。表4(Table 1)にはアスペルギルス症の臨床・疫学的特徴をまとめます。また他の属を含め、環境に住む病原性真菌があります(表5=Table 2)

 結核は空気感染する疾患で最も問題で、その臨床・疫学的特徴を示します(表6=Table 3)

 多様な種類の空気伝播しうる疾患が表7(Table 4)です。空気の浄化について、濾過方式の一覧です(表8=Table 5)。さらに陰圧室・陽圧室の工学的仕様(表9=Table 6)です。また工事設計から環境感染対策が必要なことがわかります(表10=Box 5)

 図解として、陽圧室の例(Figure 2=2)の図1)、陰圧室の例(Figure 3=2)の図3)および前室・平圧前室のある陰圧室(Figure 4=2)の図2)が示される。

 結核が疑診・確診の場合、表11(Box 8)の対策が必要で、一部はASA指針3)(文献374)に準拠します。

 表12(Table 10)は手術室や集中治療室を含む換気についてです。なお国内文献では、中央手術室で多発したマイコプラズマ感染症5)があります。

●水に関する背景情報

 環境の水による伝播経路はa)飲用、b)直接接触、c)間接接触およびd)エアロゾルに分類され、a-c)はグラム陰性桿菌と非結核性抗酸菌(NTM)が多く、d)はレジオネラ症が代表です。

 レジオネラ症の臨床・疫学的特徴は表13(Table 11)にあります。

 グラム陰性桿菌の代表として緑膿菌があり、この臨床像が表14(Table 12)にあります。さらに気管支鏡が微生物に汚染されうるという記載は国内事例と同時期、2003年手術にからむ緑膿菌感染症の多発例が報告されています6)。国内では気管支鏡の消毒指針はなく、当指針の勧告2)に従い高レベル消毒後に鉗子孔をアルコール消毒・乾燥すべきと思われる。また国内で気管支鏡自動洗浄液におけるグルタルアルデヒド耐性の抗酸菌が論文となっている7)。なお誰であっても気管支鏡を素手で扱ってはいけません。

 厚生省令8)による術前手洗い用「滅菌水」はグラム陰性桿菌の汚染がありうる(表15=Table 13537は日本発の文献)。当指針でも術前手洗いに滅菌水を用いる記載はありません。一方NTMは塩素に耐性であり、飲料水・水道水に存在しえます(表16=Table 14)。

 水感染する病原体と、その母地として「水場」を表17(Table 15)に示します。緑膿菌で述べた気管支鏡事例6)は自動洗浄器の汚染であり、当表の指摘通りです。

 水感染を調査・予防する方法のひとつとしてレジオネラ症の疫学調査を示します(表18=Box 11)。また製氷機、ディスペンサーおよび収納箱の清掃などについてに示されます(Box 12=2)のボックス3)

 また表19(Table 17)に高リスク患者の水媒介病原体に対する曝露を予防する感染対策を示します。表20(Table 20 )には微生物と氷・製氷機のおける各々の源があります。麻酔学的には熱希釈用氷槽、輸血用の恒温槽や人工心肺時の製氷機が注意を要します。さらに水治療装置に関連する感染症が表21(Table 21)にあります。

●環境に関する背景情報

<はたしてスリッパが必要か?>

 はじめに器材や環境表面に対する微生物に対応した消毒レベルが表22(Table 22)にされています。床については、過剰な消毒は必要ないとされます。国情の違いにより日本ではスリッパが集中治療部などで使用を通達9)されていますが、当院の研究4)でもむしろMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の感染源となりえました。

 重症急性呼吸器症候群(SARS)について、伝播経路は直接接触(大型飛沫核やヒトヒト接触)とされます。なおCDCによるSARSガイダンス10)では標準予防策に加え、接触および空気感染予防策が指示されています。

 廃棄物処置に関し、米国法による生物テロに転用されうる「選定物」(表23=Table 27)が示されました。

 クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)について、硬膜を用いた日本の例(文献1180)があります。プリオンに対する器械の消毒などが記載されています。

=====Part II=====

●空気に関する勧告

 空気感染を防ぐため、換気回数と99%または99.9%効果を得るための対照表(Table B.1=2)の表1)が勧告されており、表24(Box 8)にも引用されています。国は紫外線照射を推奨している10)が、あくまでも換気を補完するものです。

●水に関する勧告

 医療施設におけるレジオネラ属の調査の場所(Box C.1=2)のボックス1)と採取方法(Box C.2=2)のボックス2)に示されます。具体的な方法は和訳(2)の付録)されています。

 なお血液透析液の微生物学的限界が表(2)の表2)にされています。

●勧告のおわりに

 当指針の最後に将来の課題の項目が挙げられ、追加も予想されます。なお2003年12月25日厚労省はSARS病原体の保有状況について調査依頼を発出し、CDCも「選定物」(表23=Table 27)に加える可能性もあり、動向が注目されます。

<文献>

1. U.S. Department of Health and Human Services Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Guidelines for Environmental Infection Control in Health-Care Facilities. Recommendations of CDC and the Healthcare Infection Control Practices Advisory Committee (HICPAC) 2003 http://www.cdc.gov/ncidod/dhqp/gl_environinfection.html◆(2008/4/15)

2. 市川高夫訳:医療施設における環境感染管理のためのガイドライン、CDCおよびHICPACによる勧告http://www.muikamachi-hp.muika.niigata.jp/academic/env.htm

3. 西岡憲吾訳:麻酔業務における感染対策のための勧告(第2版)http://square.umin.ac.jp/~nishioka/infection/asa/

4. 下関市立中央病院感染管理委員会:http://www.city.shimonoseki.yamaguchi.jp/byoin/icc.html

5. 山田保夫、他:中央手術部で多発したマイコプラズマ感染症の臨床的検討。環境感染14:104, 1999

6. 下野信行、他:緑膿菌による気管支鏡汚染。感染症学雑誌77:188、2003

7. 古賀俊彦、他:気管支鏡自動洗浄液より分離されたグルタールアルデヒド高度耐性M. abscessusに対するエタノールの殺菌効果。気管支学22:251-255, 2000

8. 厚生省:省令第50号(昭和23年11月5日)医療法施行規則第20条の3、1948

9. 厚生省:医療施設における院内感染の防止について(平成3年6月26日発出)1991

10. CDC:Updated Interim Domestic Infection Control Guidance in the Health-Care and Community Setting for Patients with Suspected SARS, http://www.cdc.gov/ncidod/sars/infectioncontrol.htm

11. 厚生省新興再興感染症研究事業積極的結核疫学調査緊急研究班:結核院内(施設内)感染予防の手引き(平成11年10月)1999

The CDC website is for public domain. Therefore, you may use information from the CDC website at will.

Public Inquiry

CP

----Original Message-----

From: CDC Public Inquiry

Sent: Friday, December 12, 2003 9:27 PM

To: CDC Public Inquiry

Subject: Public Inquiry for *Other (Please describe below.)

A new public inquiry has been received from the CDC Internet for the above referenced subject.

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